(※【水滞証と腎(4)】のつづきです)
① 肌理(きめ)濃(こま)やかな肌で、色白・ポッチャリ型
② 脚のむくみがあり、圧すと指の痕が残る
③ 膝に水が溜まっている
④ 腹部が冷たく、張りや弾力が無い
⑤ 頭皮がぶよぶよしており、圧すと指がずぶっと沈む感触がある
⑥ 背中のちょうど胃の裏あたりに、軟らかいグミのような、
あるいは水風船のような、ぶよっとした感触の瘤(こぶ)を触れる
以上が、Cさんの望診と切診から得られた「水滞証を示唆する」所見でした。
②以下に関しては、これからお話を進めていく中で適宜、解説していきます。
なお、水滞証の症状については【梅雨と痰湿(2)】のブログにも
詳しく書いてありますので、そちらも併せてお読みいただければと思います。
さて、問診チェックシートおよび望診・切診の結果、
Cさんは重度の水滞証である疑いが限りなく強まりました。
その原因は、もともとの「体質的(あるいは遺伝的)水滞証」と言うべき
状態から、数十年という単位の長い年月をかけて進行・慢性化していき、
やがて加齢による「腎」の機能障害(※これを「腎虚」といいます)が
これに拍車をかけ、50代後半くらいから様々な症状が
病として噴出するようになってきたものと推察されます。
いま「様々な症状」と書いたのは、以後Cさんの訴える症状が
当初の膝関節痛や、手の腱鞘炎だけでは済まなかったからです。
(※むしろ、もともと体質的水滞証があったとしたら、そのこと自体、
先天的(遺伝的)に「腎」の機能が弱かった証左かもしれません)
症状としては、水滞証の症状がこれでもかというくらい強く出ている――
そして、背後には「腎虚証(じんきょしょう)」という、
その性格上きわめて難治な病態が、重く、深く横たわっている‥‥。
【腎の生理(2) ~老化と腎~】のブログでお話ししたように、
「腎」という蔵はヒトの老化をつかさどっています。
つまり「腎」の機能障害とはすなわち「老化現象」にほかならないのです。
(※一部例外を除きます)
老化は病気ではありません。
それは生理現象です。
ヒトはみな自然の摂理=生理学的法則に従って生きています。
誰もが生きている限り老化という法則からは逃れようがありません。
「腎」の機能不全の症状が老化に由来するものである以上、
それらの症状を根本的に改善させることは、
東洋医学であろうと西洋医学であろうと不可能です。
「その性格上きわめて難治な病態」と申し上げたのはそういう意味です。
しかし、現実に諸症状に苦しんでいる患者さんが目の前にいる以上、
「老化現象だから諦めなさい」
と言って、何も手を施さないのは「医の倫理」に反します。
そこには東洋医学も西洋医学もありません。
すべての医療従事者は、自分の為し得る最善の手段をもって
患者さんの症状改善に努めなければならないと思っています。
私もまた、他府県からわざわざ電車に乗って通ってきてくださるCさんを
何とかして少しでも楽にして差し上げたいとの思いから、
微力ながら治療を開始させていただくことになりました。。
来院から診察までのお話はここまで。
次回からは、治療の実際についてお話しします。
(※【水滞証と腎(6)】へつづきます)
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