(※【水滞証と腎(3)】のつづきです)
自己チェックシートによる問診で「仮の証」を見立てたら、
続いては患者さんをベッドにご案内して、診察の開始です。
見立てた仮の証――Cさんの場合は水滞証――に合致する
所見が得られるかどうかが望診と切診のポイントとなります。
望診・切診の結果、もしもそうした所見が得られなかった場合、
見立てた仮の証は当然、もう一度見直さなければなりません。
果たして、Cさんの望診・視診の結果から、
水滞証に特徴的な以下の所見が得られました。
(※舌診・脉診についてはかなり専門的になるため省略してあります)
① 肌理(きめ)濃(こま)やかな肌で、色白・ポッチャリ型
② 脚のむくみがあり、圧すと指の痕が残る
③ 膝に水が溜まっている
④ 腹部が冷たく、張りや弾力が無い
⑤ 頭皮がぶよぶよしており、圧すと指がずぶっと沈む感触がある
⑥ 背中のちょうど胃の裏あたりに、軟らかいグミのような、
あるいは水風船のような、ぶよっとした感触の瘤(こぶ)を触れる
これらの所見について、簡単に解説しておきましょう。
①は、水滞証でみられる典型的な身体的特徴です。
(※あくまでも典型です。水滞証の人が必ずしもポッチャリ型とは限りません)
良く言えば「みずみずしいもち肌」ということになるわけですが、
これは筋肉量に比して、相対的に結合組織と皮下脂肪の量が多いタイプの人。
結合組織とは、臓器と臓器の間を埋めて
内側から内臓器官を支えている支持組織のことで、
おもにコラーゲンと呼ばれるタンパク質でできています。
みなさんもよくご存知のように、あのプルプルとしたコラーゲンは、
「しっとりとした、みずみずしいお肌」の源です。
ぜならば、コラーゲンのあのプルプルこそは水分だからです。
ゆえに、コラーゲンの豊富なお肌は「透明感があってみずみずしい」のです。
若い女性はもともと生理的にコラーゲン量が多い。
ということは、体内の滞留水分量もまた多いということです。
その意味で、
20~40代の健康な若い女性は、もともと生理的に水滞体質の方が多い
――そのように私は考えています。
(※旧ブログ【水滞証の改善法(1)】参照)
しかし、それは女性の生理的な特徴ですから、
それ自体はもちろん病気などではありません。
問題は、豊富な水を蓄えたコラーゲン過多(あるいは皮下脂肪過多)
によって体が冷え、また、血管が圧迫されて血流が阻害されることです。
血液は行くべきところへ十分に行き届かず、
温かくなければならないところが温まらない、ということになります。
そのため、むくみや冷えといった痰湿証の必発症状が出現するのです。
それでも、年齢の若いうちは代謝機能や体熱産生機能が健全ですから、
症状としてはせいぜい、むくみや冷え、肩こりくらいしか現れません。
しかし、水滞証が改善されずに進行・慢性化したまま中高年になると、
膝に水が溜まったり(=変形性膝関節症)、
リウマチ様の関節炎や腱鞘炎になったり、果ては頭がボーッとして、
眼や耳の病を患ったりする場合があります。(※詳しくは後述)
Cさんのケースは、まさにこれでした。。
(※【水滞証と腎(5)】へつづきます)
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