(※【肉離れの二症例(5)】のつづきです)
「一か月後にはコートに立って、またテニスがしたい」
それが来院時のBさんのご希望でした。
このとき、先日のA子さんの経過が私の頭をよぎりました。
今回のBさんのけがは、A子さんのケースときわめてよく似ています。
そのA子さんが、たった1回の治療で
再びハードな練習に復帰しているのです。
そして3日間、わずか3回の治療で終了し、
受傷から一週間後には、みごと競技会出場を果たしている。
ならば、Bさんの希望など何の問題も無いのではないか――
誰しもそう考えたくなるところです。
しかし、臨床というものはそう単純にはいきません。
同じけがや病気であっても、患者さんは百人百様。
A子さんとBさんでは、年齢も大きく違えば性別も異なります。
さらには、職業も体質も生活環境もまるで違う――
そんなお二人が、たとえ同じ肉離れというけがであっても、
同じ経過をたどることなどありえないことです。
そのあたりの事情を十分加味したうえで、
目の前の患者さんの予後を推定しないといけません。
Bさんご本人には、軽度~中度の肉離れであると判断できること、
治療は3D刺激療法をメインにおこなうこと、
最初の一週間は患部の安静第一で、
毎日もしくは一日おきに通院すること、
ご自身でもマッサージはおこなわないことなどの
インフォームドコンセントをさせていただきました。
そして、第1回目の3D療法の後、テーピングを施しました。
症状が酷似しているA子さんにはおこなわなかったテーピング。
なぜBさんには施したのでしょうか。
それは、Bさんのほうが歩行時痛が強かったからです。
皮下出血班の有無で、けがの大小を判断することはできません。
事実、皮下出血がみられたA子さんのほうが歩行時痛は軽く、
反対に、皮下出血班の認められなかったBさんのほうが
歩行時痛が強いということが現に起こっているわけです。
一見、よく似た二例の肉離れ。
しかし、腓腹筋のどのあたりで、
どの程度の筋損傷が起こっているかということは、
じつは一見しただけではわからないものなのです。
ともかく、こうしてBさんの第1回目の治療を終えたのでした。
(※【肉離れの二症例(7)】へつづきます)
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