(※【水滞証と腎(2)】のつづきです)
Cさんの自己チェックによる問診の結果、
全部で23の自覚症状がピックアップされました。
(※【痰湿証と腎(2)】参照)
このうち、水滞証が関与していると思われるものを
抜き出したのが以下の項目です。
A-① 動くと汗をかきやすい
A-③ 手脚の重だるさを感じることが多い
B-① 自分は冷え性だと思う
B-③ 腰や脚、膝に疲れや脱力を感じる
B-④ 排尿(おしっこ)の異常を感じる
C-③ 目が疲れやすく、乾燥しやすい
D-① よく のどが渇く
D-② 体温は高くないのに体が熱っぽく感じることがある
D-③ 疲労時や夜間、掌や足の裏が熱く感じることがある
E-① 肩や頸の後ろが凝っている、または張っている
F-② 痒みを感じることが多い
F-③ おしっこの色が濃い
H-① おしっこの量が多い
H-② コーヒー、緑茶、ビール、清涼飲料水などをよく飲む
――じつに全体のおよそ6割にあたる14項目で、
何らかの「水」による異常のあることが窺(うかが)えます。
(※旧ブログ【津液不足って何だろう?】【水滞って何だろう?】参照)
「腎」の生理機能の①番目に「水をつかさどる」というのがありました。
したがって、上記14の症状はいずれも
「腎」の機能異常に由来する可能性があると考えられます。
そこで今度は、上記の14項目以外で「腎」の機能異常によると
考えられるものを抜き出してみましょう。
A-② よく立ちくらみがする(※腎は脳・耳をつかさどる)
B-② 耳が聞こえづらいことがある(※同上)
B-⑤ 寒い日や寒い所では元気が出ない(※腎は人体の熱源である)
C-① よく物忘れをする(※腎は脳をつかさどる)
C-② 髪に艶(つや)が無く、抜けやすい(※腎は髪をつかさどる)
――なんと、チェックされた全23項目中、
19の項目が「腎」の失調を疑わせるものでした。
チェックした全体のじつに82.6%の症状で
何らかの「腎」の関与が示唆されたのです。
それともう一つ。
Cさんが「腎」を病んでいることを示唆する一つの興味深い所見がありました。
それは、娘さんから母親のCさんをご紹介いただいたときに、
私に次のようなご依頼をされていたことです。
「母はとても怖がりなので『鍼なし』で治療してもらえませんか」
そうです!
「腎は、恐れと驚きの感情をつかさどる」――です。
このように、何気ないひとことや無意識の所作などが
患者さんの証を示唆している場合が少なくありません。
そして、この「鍼なし」治療の依頼によって、以後、
Cさんの治療には大いに手こずることになるのです。。
いずれにせよ、以上のような結果から、Cさんが「腎」を病んでいる
疑いが限りなく濃いということがおわかりいただけたことと思います。
(※文中「腎」とあるのは、もちろん腎臓のことではありません!)
(※【水滞証と腎(4)】へつづきます)
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