(※【水滞証と腎(8)】のつづきです)
Cさんに対しては、
① はり治療を施すことができない
② 横隔膜より上に3D刺激療法を施すことができない
――という、かなり高いハードルが設けられてしまいました。
あとはもう何であれ、できることはすべてやっていくしかありません。
必然的に、お灸と指圧がCさんの治療の柱となりました。
まずは、お灸です。
水滞証の患者さんには、基本的にお灸がよく効きます。
水滞証の人は、溢(あふ)れる水によって体が冷えていますから、
「火」の力をもって直截(ちょくせつ)的に体を温めるお灸は、
まさにダイレクトにその効力が体に浸透していくのです。
しかし、世の中そう都合の好いことばかりではありません。
しっとりとした潤いのある皮膚にお灸を施すと、
「水」と「火」という相反する性質のものがぶつかり合うことで、
反応がどうしても強くなります。
熱した油に冷水を注ぐような、と言えばわかりやすいでしょうか。
そこへもってきて、そもそも水滞証の人は
アレルギー(炎症)体質で、痒がりの方が多い。
そうなると、当然の結果として、
お灸を施したところが熱傷(炎症)になりやすく、
水疱(=水ぶくれ)ができ、とても痒くなります。
加えて、お肌の表皮が薄く、とても熱がりなので、
総合的に言って、お灸でも「透熱灸」といわれるタイプの、
皮膚の上で直接もぐさを燃焼させるお灸はNGということになります。
ハードルがまた一段、高くなりました‥‥。(^_^;)
そこで、透熱灸の代わりに「台座灸」と呼ばれる、
もぐさの火が直に皮膚に接しないタイプのお灸を、
肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、腎兪(じんゆ)、三焦兪(さんしょうゆ)、
中脘(ちゅうかん)、下脘(げかん)、気海(きかい)、期門(きもん)、
石門(せきもん)、関元(かんげん)、三陰交(さんいんこう)
太衝(たいしょう)、照海(しょうかい)、百会(ひゃくえ)、
合谷(ごうこく)、陽池(ようち)、足三里(あしさんり)
――などの要穴(=重要なツボ)にすえていきました。
これらは「腎」と「肝」にはたらきかけて、
水滞や気虚を改善する目的で選定したツボ。
いわば、根治療法としての役割を持ったツボたちです。
しかし、実際には膝関節痛と手の腱鞘炎という症状がありますから、
これらの症状に対し、膝まわりや手のひらなどへの
対症療法的な施灸も同時におこなっていきます。
したがって、実際に用いたツボの数は、上記の倍以上に上ります。
とにかく、打てる手は限られている。
「台座灸よ、たのむから効いてくれ!」
――そんな祈るような気持ちで、第1回目の施術を終えました。
とにもかくにも、こうしてCさんの水滞証との
長い長い闘いが幕を開けたのでした。。
(※画像は、つぼ健康療法研究所さんのHPより引用させていただきました)
(※【水滞証と腎(10)】へつづきます)
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