「土用」って何だ?(2)
カテゴリー:二十四節気
(※【「土用」って何だ?(1)】のつづきです)
「土用」の意味は、おおよそvol.(1)のブログに書いたとおりです。
そして、土用が「陰陽五行説」の影響によって
考え出されたものであることもお話ししました。
古代中国の自然観・自然哲学である陰陽五行説は、
暦や時間、易学といったものだけにとどまらず、
当然ながら医学・生理学・病理学といった分野、
すなわち漢方医学の体系化に大きな影響を及ぼしました。
人体のつくりや機能、そして病の原因や症状、治療法などを
陰陽五行説に照らして体系化していったのです。
その結果「木=肝、火=心、金=肺、水=腎」とされ、
「土には脾」が配当されたのです。
「脾」とは今日現代医学でいう脾臓のことではありません。
脾臓の働きの一部をも含めたもっともっと広い概念であり、
その働きをひと言で言うとすれば、
「飲食物から人体の活動エネルギーを産み出すところ」
というのが最も適切だと思われます。
現代医学的に言うと、それは「胃・小腸」です。
胃腸は体の中心に位置し、活動エネルギーを産出する
きわめて重要な臓腑です。
「土」に配当したのもうなづける気がします。
かように大事な役割を担っている脾ですが、
じつは、脾には一つ大きな弱点があります。
「痰湿困脾(たんしつこんぴ)」といって、
「脾は痰湿に弱い」とされているのです。
先日まで「梅雨と痰湿」というブログを連載しておりましたが、
痰湿証の人はほぼ例外なく脾(=胃)が虚弱しています。
痰湿による冷えが、消化・吸収・免疫といった
胃腸の機能を低下させてしまっているのです。
これはなにも痰湿証の人に限ったことではありません。
暑い夏に、食欲が無いからといって
蕎麦や刺身、スイカ、果物、かき氷、清涼飲料水など、
冷たく水っぽいものばかりお腹に入れていると、
胃腸の血流が低下して十分な消化・吸収がおこなわれず、
結果、十分な活動エネルギーを産み出すことができなくなり、
そのため体が重だるい、疲れやすく回復しにくいといった、
いわゆる「夏バテ」状態となってしまうわけです。
こうした夏バテには、ビタミンB群が有効であり、
ウナギにはビタミンAとともにB1・B2も
豊富に含まれていることがわかっています。
夏の最も暑い盛りである「土用の丑の日に鰻を食べる」
という習慣は、じつはとても理に適ったことなのです。
この「土用の丑の日に鰻」ということをいつ、だれが、
何の目的で言い出したのかについては――次回を待て!!
(※【「土用」って何だ?(3)】へつづきます)
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