(※【肉離れの二症例(2)】のつづきです)
「痛みが無くなることと、けがが完治することは別。
①毎日治療を受けに来ること。そして、
②大会後はしばらくの間ハードな練習はおこなわないこと」
この2つを守ってもらうことと引き換えに、
一週間後の大会に出場できるようにする――
私はA子さんにそう約束しました。
はたして肉離れが一週間で完治するものでしょうか。
答えは「ノー」です。
以前のブログ【頸椎ヘルニアになってしまいました(12)】の中で
私は次のように書きました。
「炎症期と呼ばれる炎症反応の最も強い時期が、
受傷から1週間までをピークに2週間くらい続く」
というのが科学的な事実であると――。
これは骨折という「大けが」の場合の例ではありますが、
骨折に限らず、たとえどんなに小さな組織損傷であっても、
受傷後は必ず一定の期間「炎症期」というものが訪れます。
なぜなら、炎症が起こらなければ傷は癒えない、
炎症こそ自然治癒力そのものだからにほかなりません。
(※このあたりの詳細は、→ 過去のブログ をご覧ください)
骨折などの大けがになると炎症反応も大きく、
しばしば全身の発熱をみることもありますが、
軽いけが(=軽度の組織損傷)の場合は炎症反応も小さいため
発熱なども無く、炎症期も1週間前後といったところでしょうか。
この炎症期の後に、損傷した組織の修復過程に入るわけですが、
このことが具体的に何を意味しているかというと、
一週間後、A子さんの肉離れは炎症期を終えているけれども、
組織(=筋肉や筋膜)の本格的な修復は始まったばかりで、
まだ治癒したなどとはとても言えない状況であるということです。
このような科学的エビデンスに基づいておこなった説明が、
冒頭に記したA子さんへのインフォームドコンセントなのでした。
痛みが強いほど、選手はパフォーマンスを発揮することができません。
痛みの元は炎症反応によって産生された「発痛物質」ですから、
痛みの強さは、炎症反応の大きさ・強さに比例します。
したがって、一週間後という差し迫った期限までに
いかに痛みを取り除くことができるかということは、すなわち、
いかに炎症を抑え込むことができるかという意味になります。
そのための3D刺激療法という選択であるわけですが、
それ以外にも、初回施術後の「生活指導」として、
①今晩の入浴はシャワーだけにして、患部に熱いお湯はかけないこと。
②急性期が過ぎるまで患部のマッサージはけっしておこなわないこと。
以上2点に注意して過ごすようA子さんに申し渡しました。
試合を目前に控えた選手が求めるものは「完治」ではありません。
選手が求めるもの――それは痛みが限りなくゼロに近くなること。
そう、これは「痛みゼロ」への挑戦なのです。
(※画像の出典/http://healthil.jp/17164)
(※【肉離れの二症例(4)】へつづきます)
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