(※【肉離れの二症例(10)】のつづきです)
つぎに、受傷時の自覚的な「感覚」ですが、
筋や腱が強い力で瞬発的に引っ張られると、
当然ながら断裂を生ずるわけですが、
その際、肉離れを起こした人の中には、
「何かが剥がれるようなバリッという音がした」
「ゴムが切れるようなバチンという音がした」
などと証言する人もいます。
また、アキレス腱断裂などでは、
「アキレス腱にボールが当たった」
あるいは、
「アキレス腱を誰かに蹴られた」
などと感じるケースも多くあります。
もちろん、ボールなど当たってもいなければ、
誰かに蹴られたのでもないことは言うまでもありません。
こうした筋・腱の断裂に伴う異常な感覚については、
A子さんからは特別お聞きしてはいませんが、
「以前に肉離れをやったときと同じ感じがしたから」
当院を受診したのだと、初診時におっしゃっていました。
一方、Bさんのほうは、
「テニスボールがパンッと当たったように感じた」
と、はっきりとおっしゃっています。
これは筋断裂の存在を示唆するきわめて有力な傍証です。
それともう一つ、皮下出血班の所見。
これもまた、断裂による内出血の存在を物語っています。
しかし、断裂があれば必ず皮下出血班が認められるとは限りません。
限局的で明瞭な圧痛や、著明な歩行時痛などといった、
肉離れの必発症状がまずベースにあることが大前提です。
それら必発症状に加えて皮下出血班がみられるかどうか、
受傷時に何かが患部に当たったような感覚や音がしたか、
などの「傍証」を固めていって、そして
「これは肉離れに違いない」
という判断に到達するのです。
このことから、問診で受傷時の感覚と状況、
そして歩行時痛の有無等を詳しくお聞きし、
次いで視診・触診によって皮下出血班 および圧痛の有無を診る。
そうすることによって、そのけがが果たして
肉離れであるか否かということを判断することは、
ハイテクな画像診断装置が無くとも可能なのです。
こうした総合的な診察 → 判断の結果、
「A子さん、Bさんともに肉離れに間違いない」
との結論のもとに治療を開始したわけです。
そうして、何よりも治療が奏功したというその事実が、
判断の正しかったことを裏づけているといえましょう。
(※【肉離れの二症例(12)】へつづきます)
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