レントゲンやCT、MRIといった最先端の画像診断装置。
それらを駆使してもなお、痛みの原因がわからない――
そういったケースはしばしばあり、
取り立てて珍しいことではありません。
21世紀科学の最先端技術であるはずの画像診断なのに、
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
そしてまた、そのようなケースに
東洋医学的治療の奏功することが
少なくないのはなぜなのでしょうか。
その答えは三つあると筆者は考えています。
一つは、画像検査は
「写るものは鮮明に写し出すが、
写らないものはいっさい何も写し出さない」
からです。
CTやMRIなどの画像診断装置は、
人体にX線を照射し、あるいは強力な磁場を形成して、
それに感応した(あるいはしない)器官・組織だけが
描出される仕組みになっています。
つまり、検査画像には、デジカメや銀塩写真のように
「そこにあるものがすべて写っているわけではない」
ということが大前提としてあるわけです。
したがって、
描出されない部分に仮に何か病変が存在したとしても、
描出されないわけですから、当然それは発見されない
ということになります。
そういう「見落とし」の無いように、
実際には撮影条件を変えるなどして
幾通りもの画像を撮影していますが、
見落としの発生する蓋然性(がいぜんせい)は
原理的に「0%ではない」ということです。
二つ目の理由は、
「そうであるはずだ、そうに違いない」という
医師や医療従事者側の「思い込み」にあります。
たとえば、
「首が痛いのならば、首=頸椎に何か病変があるはずだ」
であるとか、
「脚が痺れるのなら、椎間板ヘルニアがあるに違いない」
などといった、文字どおり思い込みです。
「首の痛み」や「脚の痺れ」といった症状を
惹き起こす原因として、頸椎疾患や椎間板ヘルニアが
最もポピュラーな疾患であることは確かですから、
これらの疾患を疑うこと自体に何ら問題はありません。
けれども、それはあくまでも確率論であって、
首の痛みや脚の痺れの原因が
いつも頸椎疾患やヘルニアにあるとは限りません。
しかし、これらの原疾患が見つからなかったとき――
つまり、画像検査で有意な所見が何も得られなかったとき、
医師(※法律上「診断」できるのは医師に限られる)は
故意に、もしくは意図せずして思考を停止し、
「どこも異常ありません」
「精神的なものかもしれません」
「痛み止めを出しておきますから、様子をみてください」
といった「伝家の宝刀」を振りかざす――
要するに、その医師は
「現代医学的には、あなたは病気ではありません。
病気ではないのだから、治療のしようもありません」
と言っているわけです。
これは医師の個人的資質の問題というよりも、
現代医学=西洋医学の限界を示していると考えられます。
ポピュラーケースを扱うことの多い医療従事者ほど
知らず知らずのうちに、こうした固定観念に
囚(とら)われやすいものであるということを、
医師のみならず、私たち医療に携わる者一人ひとりが
自戒しなければならないと思います。
(※【原因不明の頸部痛が東洋医学的アプローチで改善した症例(2)】へつづきます)
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