「立夏」2016 ~夏、立ちぬ~
カテゴリー:二十四節気
今年の立夏は5月5日、こどもの日に当たります。
春という季節が終わって、明日から夏が始まる――
立夏の意味はみなさんご周知のことと思いますので、
きょうは「立夏」がなぜ「夏の始まり」を意味するのかを、
国語表現の面から解説してみたいと思います。
「立夏」は漢語ですから、厳密に言えば外国語です。
この漢語(中国語)を、和語(日本語)に翻訳したものを
読み下し(書き下し)文といいます。
「立夏」を読み下し文にする(=日本語に翻訳する)と、
「夏立ちぬ」となります。
「立つ」とは、主語を受けて「その状態になる」ことを意味する動詞。
この場合、主語は「夏」ですから、
季節が夏という状態になることを表します。
「ぬ」は完了の助動詞と呼ばれるもので、
「いま、そうなったところだ」という意味を付加します。
したがって「夏立ちぬ」とは、
「いま、季節が夏になったところだ」という意味になります。
すなわち「夏が始まった」ということになるわけです。
この「○○立ちぬ」という言い方で思い浮かぶのが、
堀辰雄の名作『風立ちぬ』でしょう。
これもまた同様に考えて、
「いま、風が吹いたところだ」という意味になります。
「立つ」という動詞は、主語を受けて
いろいろな訳語をあてはめることができます。
この場合の主語は「風」で、風は「吹く」ものですから、
「いま吹いたところだ」と訳せるわけです。
しかし、このままでは直訳すぎて、文藝作品の題名には相応しくありません。
「いま一瞬、風が通りすぎた」
というくらいのニュアンスのほうが、
小説『風立ちぬ』には相応しいかもしれませんね。
ちなみに余談ですが、この『風立ちぬ』、
1976年に山口百恵・三浦友和の黄金コンビで映画化されています。
その中で、まだ8代将軍・吉宗になられる前の若き日の松平健さんが、
主人公の友人で、正義感の篤い陽気な青年役を好演しています。
映画と原作小説とはまったく別物ですが、
映画は映画でまた、とても印象深い、佳い作品でした。(了)
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