かぜの話(1) ~病の運び屋「風邪」~
カテゴリー:「病気とケガ」の話
「インフルエンザ、早くも流行の兆し」
というニュースを、数日前のTVニュースで耳にしました。
また、前回のブログに、
「とても雪など舞うような気配ではありません」
と書いた側から、けさの東京はけっこうな雪に見舞われました。
いずれにせよ、これから次第に寒さが増していくのは必定です。
とくに、鼻やのどの粘膜の弱い方にとっては、油断するとすぐに
鼻水ズルズル、背筋がゾクゾク、のどがヒリヒリといった、
「かぜ引き」状態に陥りやすい季節です。
日常もっともありふれた疾患であるこの「かぜ」ですが、
ある特定の、一つの疾患を指しているのではありません。
つまり「かぜ」という病気が存在するわけではないのです。
したがって、医学的にも「かぜ病」などという病名は無く、
あくまでその症状に対して「かぜ症候群」という呼び方がされます。
ウイルスか、それとも細菌か、あるいはそれ以外の原因によるのか――
といった「症状を惹き起こしている原因」の何であるかにかわらず、
咳や痰、くしゃみ、鼻水、のどや関節の痛み、頭痛、発熱、悪寒‥‥
といった症状をすべて包含して「かぜ症候群」と呼んでいます。
それゆえに「かぜは万病のもと」とも言われますよね。
この言葉は、
「かぜという病気は、こじらせるといろいろな重病に発展する。
(だから、こじらせぬよう用心しなさい)」
というような意味で一般的に解釈されていますが、
そして、そういう意味もけっして無いとは言いませんが、
「多くの病気に共通している初期症状は『かぜ症候群』である」
と解釈したほうが、医学的に正鵠を射ていると思います。
また一方で、こうした「かぜ症候群」を惹き起こす原因の多くが、
おもにウイルスや細菌の感染による鼻やのどの炎症であることから、
医学的に「上気道炎」という呼ばれ方もします。
私たちが日常的によく引く、いわゆる「かぜ」やインフルエンザなどは、
「ウイルス感染性上気道炎」ということになります。
このように、かぜ症候群を惹き起こす原因(この場合はウイルス)
が特定されたとき、はじめて「ウイルス感染性上気道炎」
などといった「病名」が付くことになります。
では、東洋医学では「かぜ」をどのように解釈・定義しているのでしょうか。
「風邪」と書いて「かぜ」と読ませることもあるのは
みなさんご存知のとおりですが、これは、
「かぜ症候群は『風の邪気(ふうのじゃき)』が体内に侵入したために起こる」
という東洋医学の考え方に基づいたものです。
「風の邪気」とは、広く一般に存在する「自然界の気」の一種で、
寒や暑、湿や燥などの他の邪気を伴ってヒトの体内に侵入し、
さまざまな病を起こすメディエーター――つまり「媒介者」です。
余談ですが、これって、何かに似ているとは思いませんか?
――そう、現代でいうところのウイルスそっくりですよね!
冬の寒い時季、ゾクゾクと寒気がして、くしゃみが何度も出る。
そのうちのどが痛くなり、頭も痛くなり、熱を測ってみたら37.5℃あった
――などということは、誰しもが経験したことがあると思います。
これは風の邪気が、寒の邪気(=冬の邪気)を伴って体内に侵入
したときの典型的なパターンです。
寒邪(寒の邪気のこと)という「体を冷やす邪気」が侵入したために、
体はそれに対抗するべく「発熱」という手段をもって直ちに
体を温めようと働く、体が陰陽・寒熱のバランスをとろうとする
――それが東洋医学の考え方なのです。
(※【かぜの話(2)】へつづきます)
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