腎の生理(1) ~腎は水をつかさどる~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
五蔵についての総論を終え、今回からいよいよ各論です。
まずは「腎」の生理からお話ししていくことにしましょう。
旧ブログでも「腎と水」の関係について書きましたので、
重複するところもあると思いますが、
今回は実際の臨床例も交えて、よりわかりやすく
「腎」の生理についてお話ししていきたいと思います。
漢方医学では「腎は水をつかさどる」と言われます。
水とは「気・血・水」の、あの「水」です。
ヒトの体は、気・血・水が偏ることなく、
滞りなくめぐっている状態が健康である
――そのように漢方医学では考えます。
この「気血水のアンバランス」については
旧ブログの最初のほうですでにお話ししてありますが、
ここでもう一度、水のアンバランスについておさらいしておきましょう。
体内水分(※これを「津液」といいます)の過剰もしくは偏在
――過剰であるがゆえに身体のどこかに偏在するのですが――
がみられる場合、これを「水滞証(すいたいしょう)」といいます。
反対に、水の不足によって体に不具合が生じる状態を「津液不足」、
さらに、それが昂じて身体の陰陽バランスを
崩してしまった状態を「陰虚証」と呼びます。
水(=津液)の異常には、大きくこの3つがあるわけですが、
問題は、これらがどうして起こってくるのかという、その原因です。
こうした「水」の異常は、突き詰めればすべて
「腎」の異常に起因するというのが漢方医学の考え方であり、
「腎は水をつかさどる」とは、このことを言っているのです。
なるほど、腎臓はおしっこをつくるところだから、
「水をつかさどる」というわけか――。
現代医学が当たり前に刷り込まれている私たちは、
ついつい、そのように考えてしまいがちです。
しかし「腎」(※腎臓のことではありません!)の概念とは、
そのように短絡的なものではありません。
漢方医学における「腎」の概念とは、
おおよそ次のような生理作用を指します。
① 腎は、水をつかさどる
② 腎は、人体の熱源である
③ 腎は、成長・発育・生殖・老化をつかさどる
④ 腎は、腰・脚・膝(=下半身)をつかさどる
⑤ 腎は、骨・髄・髪・耳・排泄器官をつかさどる
⑥ 腎は、恐れと驚きの感情をつかさどる
②以降については次回からお話ししていこうと思うわけですが、
これからお話しすることをご理解いただくためには、
解剖学的な臓器としての腎臓のことは
しばらく横に置いていただく必要があります。
漢方医学でいう「腎」と、西洋医学における腎臓とを、
くれぐれも同じものと見なさないことが肝腎です。
(※【腎の生理(2)】へつづきます)
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