梅雨と痰湿(2) ~その症状「痰湿」につき~
カテゴリー:「気・水・血」の話
(※【梅雨と痰湿(1)】のつづきです)
「痰湿とは余剰水分の滞留・偏在のことである」
と、前回のブログで書きましたが、
具体的にどのような状態を言うのでしょうか?
もっとも典型的なのが下肢(ふくらはぎ)のむくみです。
水には「重い」「冷たい」という性質があります。
重力の影響で下肢に鬱滞した静脈血(=痰)により
ふくらはぎがパンパンに腫れ、さらには脚が冷えるむくみは、
痰湿証(=水滞証)の典型的な症状。
脚がむくんで困るという人は「痰湿Stage I」です。
このような脚のむくみは、「腫れている」「冷える」
といった自覚がたいていあるものですが、
一方で、本人の自覚しないむくみというものもあります。
たとえば、背中などに瘤(こぶ)のある人。
いろいろな患者さんのお体を診ていると、
脊柱(=背骨)の両側、肩甲骨の下あたりに、
ぶよっとした水風船のような瘤を触れる人がたまにいらっしゃいます。
そのような方は痰が背中にある人です。
脊柱両側からは、自律神経・運動神経・感覚神経を問わず、
あらゆる脊髄神経の本幹が出入りします。
その出入口付近が痰によって圧迫を受けたりすると、
単なる背中の凝りから消化器あるいは循環器疾患に至るまで、
さまざまな症状が出現するリスクが出てきます。
痰がどこのどんな神経を圧迫しているかによって、
その人の体に出現する症状も異なってくるのです。
――ちょっと待って! その瘤は水じゃなくて脂肪なのでは――?
と、疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、東洋医学でいう「水」とは、
H2Oのことだけを指すのではありません。
体内における脂肪もまた「水」の概念の一つであり、
それが滞留・偏在したものは、やはり「痰」なのです。
大事なことは、その瘤が脂肪であるか水(H2O)であるかではなく、
流動性を持った何らかの余剰物(※これを病的産物といいます)が
神経なり血管なり内臓なりを圧迫しているという事実であり、
その圧迫からいかに解放してあげるか(=治療)ということです。
ついでながら申し添えておきますが、背中の瘤に
吸圧療法(カッピング)を施すと、多くの場合、
暗紫色の鬱血斑が皮下に浮き出てきます。
このことからも、瘤は単純な脂肪の塊ではないと考えられます。
このタイプの人は「痰湿Stage II」にあると言えるでしょう。
さらに、もっと上――頭に痰の鬱滞している人もいます。
頭皮の上から指圧してみると、指がずぶっと沈み込む感触があります。
このタイプの人は、痰湿証がかなり進んでいる人です。
症状も頭痛、めまいに始まり、
片頭痛や眼の奥の痛み、網膜炎、メニエール病、
さらには健忘症、頭がボーっとすることが多い、などなど‥‥
日常生活に深刻な影響が出かねないものばかり。
現代西洋医学をもってしても、
どれも容易に治るようなものではないものばかりです。
重力の支配に完全に逆らって、頭のてっぺんに痰のあるこのタイプは、
もうすでに体のあちこちに痰湿が滞留・偏在していると考えられます。
もはや重度の「痰湿Stage III」です。
(※痰湿=水滞についての詳細は → 旧ブログ をご覧ください)
(※【梅雨と痰湿(3)】へつづきます)
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