脾の生理(1) ~脾は後天の本~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
「腎」に続く、五蔵のお話その二は「脾」です。
くどいようですが、東洋医学における「五蔵六府」とは、
解剖学的臓器のことを言っているのではありません。
それでも「腎」の生理作用のうちには、
「水をつかさどる」や「排泄器官をつかさどる」といった、
内臓器官としての腎臓と同様の役割もありました。
けれども「脾」に関しては、解剖学的・西洋医学的意味の脾臓とは、
その生理作用において、全くと言ってよいほど共通点がありません。
では、東洋医学における「脾」の生理作用には
どのようなものがあるのか、さっそく見ていくことにしましょう。
① 脾は、運化・生気をつかさどる
② 脾は、生血・統血をつかさどる
③ 脾は、肌肉・四肢・口唇をつかさどる
④ 脾は、思慮をつかさどる
⑤ 脾は、湿を悪(にく)む
「①運化・生気をつかさどる」という働きこそが
「脾」の代表的な生理作用であり、これをもって
「脾は後天の本である」という言い方をします。
どういうことか、ご説明しましょう。
以前のブログ【腎の生理】のところで、
腎は人体の熱源であり、成長・発育・生殖・老化をつかさどる
――ということから、すなわち「腎」とは、
「ヒトが生まれながらに持っている生命力そのものである」
というお話をしました。
このことをもって「腎は先天の本である」という言い方をします。
これに対し「脾は後天の本である」という意味は、
「ヒトが元気に毎日を暮らしていく気力・体力を生み出す」
――という働きを「脾」が担っているということです。
「腎」に蔵されている生命力のことを「先天の原気」と呼びますが、
その総量は各人で決まっており、原気が尽きれば死んでしまいます。
そこで、原気が簡単に枯渇してしまわぬよう、
つねに補充してやる必要があるわけです。
私たちは、毎日を生きる気力や体力の源を食事から得ています。
運化とは、飲食物を消化・吸収しながら、
胃 → 小腸 → 大腸へと「運搬」していくこと。
生気(しょうき)とは、文字どおり「原気を生み出す」ことです。
このように、飲食物から「自然界の気」を人体に摂り込み、
これをいわば「後天の原気」として補填(ほてん)する――
これこそが「脾」という蔵の代表的な働きというわけです。
でも、これって「胃袋」の働きに似ていると思いませんか?
――そうなんです。
「脾」の生理作用の第一番目「①運化・生気をつかさどる」とは、
じつは胃袋という臓器の働きのことを言っているのです。
ゆえに、①の作用を指して、
とくに「脾胃(ひい)の働き」という言い方をします。
(※【脾の生理(2)】へつづきます)
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