肝の生理(1) ~ストレスとストレッサー~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
きょうからは、五蔵の中の「肝(かん)」のお話をしていくことにしましょう。
前回のブログの中で、いわゆる「五月病」を例にとり、
「春は肝を病みやすい」というお話をしました。
今回はこれについて、もうすこし詳しく掘り下げてみたいと思います。
キーワードは「ストレス」と「風邪(ふうじゃ)」です。
そもそもストレスとはいったい何でしょうか。
「ストレスを溜めないように」などとはよく言われることですが、
それから考えると「不満」「抑圧」「我慢」「忍耐」などといった言葉と
同様のニュアンスで使われているように思われます。
『ブリタニカ国際大百科事典』によると――
「刺激により引起される非特異的な生体反応。
生体に加わる力をストレッサー、
それによって起る生体の反応をストレスという」
――とあります。
これが最もオーソドックスなストレスの定義なのではないでしょうか。
私はこれを、東洋医学の臨床家という観点から
すこし補足・換言してみたいと思います。
すなわち――
「さまざまな物理的・化学的・生物的・精神的原因刺激(=ストレッサー)
により、生体内環境の恒常性(ホメオスタシス)が破られようとしたときに、
それらに適応するために生体に起こるある種の防衛反応をストレスという」
――といったところでしょうか。
つまり、ストレスとはある種の生体反応を指す言葉であり、
不満や抑圧、忍耐などは、むしろストレッサーのことを
言っているのだということがわかります。
もうすこし具体的かつ医学的にストレスというものを考えてみましょう。
「さまざまな物理的・化学的・生物的・精神的原因刺激」とは、
たとえば、寒冷や騒音、肉体の酷使などは物理的ストレッサー、
薬品や食品添加物などの類は化学的ストレッサー、
ウイルスや細菌、カビ、花粉、炎症などは生物的ストレッサー、
恐れ、不安、焦り、緊張、悲しみ、怒り、絶望などの感情や、
パワハラ、セクハラ、いじめといったハラスメントは、
精神的(心理的)ストレッサーとなる、ということです。
これら種々のストレッサーが、さまざまな病気の
原因となりうることは容易に想像がつくでしょう。
現代医学をして、
「ストレス(※ストレッサーのこと)は万病のもとである」
と言わしめる所以(ゆえん)です。
(※【肝の生理(2)】へつづきます)
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