(※【水滞証と腎(7)】のつづきです)
1.とにかく膝の痛みをすこしでも緩和すること
2.「腎」の機能回復を治療の主眼に置くこと
3.併せて「肝」の機能改善を図ること
Cさんに対する治療方針がこれで固まりました。
しかし、ここでさっそく問題にぶつかることになります。
それは、Cさんがたいへんな「怖がり性」であるため、
「鍼なしで施術してほしい」と言われていることです。
鍼の効能の一つに「消炎鎮痛作用」があります。
鍼が使えないということは、鍼のなすべき仕事を
何かでもって代用しなければならないということです。
幸い、当院には3D刺激療法という手段があります。
これは、急性炎症を鎮め、痛みを緩和する、
消炎鎮痛効果に優れた最新の電気治療システムです。
Cさんの両膝には明瞭に水が溜まっていて、
膝小僧のすぐ上のところを触ってみると、熱感があります。
明らかな膝関節の急性炎症症状です。
まずはCさんの両膝に3D刺激療法を施すことにしました。
3D刺激療法は肩こり・腰痛にも効果を発揮しますので、
次にCさんの肩背部にも装着・通電してみたところ、
「なんだか心臓がドキドキするので止めてほしい」と言われたので、
これ以後、横隔膜より上には装着しないようにしました。
多くの肩こりの患者さんの肩背部に3D刺激療法を
施してきましたが「心臓がドキドキする」という
訴えを戴いたことはこれまで無かったことでした。
そこで、Cさんに心臓疾患の有無などをお尋ねしてみたところ、
これまでに心電図の異常を指摘されたことは無く、
普段の血圧も正常値であるとのことでした。
(これは、いったいどういうことだろう‥‥)
患者さんに対する平均最大出力の半分ほどでの訴えでしたので、
通電の出力が大きすぎたなどということでは断じてありません。
しばらく考えた結果、一つ思い当たることがありました。
それは、
「重度の水滞証では、動悸や息切れを訴えるケースがある」
ということです。
水滞は、どこかから突然やってくるわけではありません。
気虚という状態が長い年月をかけて進行・慢性化した果てに、
病的と言ってよい、重度の水滞証が形成されるのです。
そして、その水滞がますます気血の循りを阻害するため
心肺機能が十分に働けず、動悸や息切れが起こるのです。
医学的には(=検査数値的には)Cさんの心臓に異常は無いかもしれません。
しかし「東洋医学の目」でこれを見るとき、
「心臓がドキドキする」というこの訴えこそまさに、
Cさんが重度の水滞証であることを物語っているのです。
(※【水滞証と腎(9)】へつづきます)
**************************************************
奈良の鍼灸マッサージなら、指圧鍼灸マッサージ くるみ治療院
にお越しください。奈良市のしもみかど商店街の中にあります。
〒630-8365
奈良県奈良市下御門町17-1
TEL:0742-93-9600
受付時間:10:30~19:00
定休日:月・木(祝日営業)