当院は、町家造の風情残る奈良町にもほど近く、
国宝・興福寺五重塔や元興寺、また名勝・奈良公園や猿沢池からも
徒歩5分ほどのロケーションに位置しています。
そのため、観光シーズンには国内外からの観光客の方からも、
しばしばリラクゼーション等にご利用いただいております。
「あをによし」ここ奈良の地へ、世界中から来られているという
印象を受けますが、当院のドアを開けて施術を希望される外国人は、
とりわけフランス、イタリア、スペイン、北欧など欧州圏の方が多いです。
私たち指圧師の諸先輩が数十年も前にヨーロッパへ渡り、
Japanese SHIATSU を広めたという歴史的事実もありますが、
健康意識の高い彼らは「SHIATSU」をとてもよくご存知で、
日本の伝統文化に対する彼らの関心の高さ、造詣の深さが感じられます。
そんな中、香港から来たという30歳前後と思しき若い女性が、
ツアーガイドの女性の腕につかまりながら、
痛そうに腰を屈(かが)めて入ってきました。
ガイドの通訳によると、奈良公園や奈良町界隈を巡っていたところ、
だんだんと腰が痛くなり、ついには痛くて歩けなくなったとのこと。
待合室の椅子に座ってもらって話を伺おうと思いましたが、
それさえも大変そうでしたので、とにかくベッドへと案内しました。
その間も彼女は、痛みのために背すじがまっすぐに伸びず、
終始腰を屈めながら、小さい歩幅でそろりそろりと歩いていました。
発症時の状況と、腰を庇(かば)うその姿勢から、典型的な
筋・筋膜性の急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)だと判断しました。
ツアー旅行中であるとのことでしたので、念のため
(治療のための)時間はあるのかお尋ねしたところ、
ガイドさんいわく、30分で何とかしてほしいとのこと。
う~ん、、30分かあ‥‥(^■^;)
筋・筋膜性のぎっくり腰であるならば、
以前ブログにも書いたように、指圧が著効を奏します。
(※ → 旧ブログ【指圧により急性症状が消失した症例(1)(2)】参照)
患者さんの年齢も若いし、もともと腰に持病が無いようならば、
なんとかなるに違いないという、確信に近いものがありました。
「30分でできるだけのことはやってみましょう」
と申し上げると、二人とも微かに安堵の表情を浮かべました。
筋・筋膜性の急性腰痛とは、腰部の筋肉の急激な攣縮(れんしゅく)・
過緊張により急性炎症が起こり、そのため強い痛みを発するもので、
「ぎっくり腰」と俗に言われるもののうち最も多いタイプです。
その攣縮・過緊張のおもな原因となるものは、
筋肉への急激な負荷(重い物を持ち上げるなど)や、
収縮刺激の頻回反復(背筋トレのやりすぎなど)で、
彼女の場合は後者、つまり「歩きすぎた」ことによるものと考えられます。
したがって、過緊張を起こしている筋を鎮静させ、
炎症による充血を改善することにより、
蓄積された疲労物質・発痛物質を流し去ってやる――
それが施術目標となります。
30分という限られた時間の中で、肩甲骨周辺から下肢までの筋に
ストレッチをかけるように指圧を施していきます。
これにより筋肉の攣縮・過緊張が取れ、充血が除かれていきます。
指圧はまさに「循環促進療法」「血流改善療法」と呼ぶべきものなのです。
きっかり30分――。
施術を終え、ゆっくり立ってみるように伝えました。
初めは恐る恐る起き上がった彼女でしたが、
腰の違和感が消失しているのを感じたのか、
こわばっていた顔がしだいに綻(ほころ)んできました。
そして、ベッドサイドに立って背すじを伸ばしてみても、
腰を回してみても全く痛くないのがわかると照れたように笑い出し、
それを見ていたガイドさんもつられて笑い出したので、
私たちもいっしょになって笑ってしまいました☆(^▼^)
臨床を毎日していると、時折、こうした指圧のすごさ、
東洋療術の底力を痛感する場面に遭遇することがあるものです。(了)
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