「啓蟄」2017 ~桃の節句の由来とは~
カテゴリー:二十四節気
すこし早いですが、3月5日は「啓蟄(けいちつ)」です。
いろいろなクイズ番組やニュース、気象予報などで、
今ではもう「啓蟄」の意味を知らぬ人はいないのではないでしょうか。
でも一応、各々の漢字の意味を繙(ひもと)いて、
もう一度おさらいしておくことにしましょう。
「蟄」とは、動物や虫などが巣穴に閉じこもること。
「啓」は「ひらく、ひらかれる」という意味です。
つまり「啓蟄」とは、
「巣ごもりを終えた動物や虫たちが、巣穴から出てくる頃」
という意味になります。
『こよみ便覧』ではこれを、
「陽気地中に動き、ちぢまる虫、穴を啓(ひら)き出れば也」
と、表現しています。
啓蟄とは、まさに春を象徴する事象の一つなのですね。
春の象徴といえば、もう一つ「桃の節句」があります。
旧暦の3月上旬頃は、桃の花の咲く時季であるため、
雛(ひな)まつりのことを「桃の節句」と呼ぶわけですが、
この時季に咲く花はべつに桃に限りませんよね。
それなのに、どうして「桃」の節句なのか?
中国の詩人、陶 淵明(とう えんめい、365-427)の作で、
理想郷を意味する「桃源郷」という言葉のもとにもなった
『桃花源記(とうかげんのき)』にもみられるように、
中国では古来、道教の思想の影響もあり、
桃は「不老長寿」「邪気退散」の象徴とされてきました。
そんな象徴である桃の花が咲き乱れ、樹々が生い茂り、
健全な老若男女がみな幸せに暮らしているこの桃源郷は、
まさにユートピア=理想郷そのものです。
また一方で、瘀血(おけつ)を改善する代表的な漢方薬に、
「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」という薬があります。
「桃核」とは「桃の実の核」つまり、桃の種のこと。
種の硬い殻を割ると中に入っている、あのアーモンド似のやつが
「桃仁(とうにん)」といって、消炎・通経・血流改善作用があり、
これを主成分とした「桃核承気湯」は、
生理不順や月経異常、便秘、更年期障害など、
いわゆる「血の道症」と呼ばれるものに対して
処方される代表的な駆瘀血(くおけつ)剤です。
女の子の健やかな成長を祝い、願う雛まつりの行事が
「桃の節句」とも呼ばれてきた背景には、こうした
桃に対する信仰と薬効というものが存在したことが
理由の一つなのではないでしょうか。
信じるか信じないかは、あなた次第です。。(了)
**************************************************
奈良の鍼灸マッサージなら、指圧鍼灸マッサージ くるみ治療院
にお越しください。奈良市のしもみかど商店街の中にあります。
〒630-8365
奈良県奈良市下御門町17-1
TEL:0742-93-9600
受付時間:10:30~19:00
定休日:火・金(祝日営業)