「大寒」2017 ~陰きわまりて陽を生ず~
カテゴリー:二十四節気
あす1月20日から2月3日までを「大寒」と言います。
先日の二十四節気ブログでお話しした「小寒」と併せ、
1月5日~2月3日のおよそひと月間を「寒の中(うち)」と呼びます。
そうです。寒中見舞のはがきなどは、
文字どおりこの「寒の中」に認(したた)めます。
そして、寒の明けた2月4日が「立春」であり、
そこではじめて「迎春」「初春のお祝い」という
年賀状の常套句となるわけです。
ところが明治以降、日本では正月を新暦(太陽暦)で祝うように
なったため、迎春の祝詞を上げた後に寒中見舞を認めるといった
ヘンテコなことが起きるようになってしまいました。
こよみ(旧暦=太陰暦)の上では寒の入り前であるにもかかわらず、
年賀状に「賀春」だの「初春のお慶び」だのと認めたところで、
実際の自然界の変化とはまるで合致しないわけです。
梅なんてまだどこにも咲いていないのに、
梅のイラストの年賀はがきに梅の図柄のスタンプを捺(お)す――
違和感を拭えないのは私だけではないと思います。
そんなことをここでボヤいてみても始まらないので、いつものように
江戸時代の『こよみ便覧』で小寒・大寒を見てみることにしましょう。
小寒とは「冬至より一陽起こるが故に陰気に逆らう故、益々冷ゆる也」
大寒とは「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」
――とあります。
大寒については至極あたりまえのことを言っていますが、
ちょっと解りにくいのは小寒のほうではないでしょうか。
「一陽起こるために陰気に逆らうので、ますます冷える」
のである、と言っています。
「一陽起こる」とは、どういうことでしょうか。
昨年12月21日は「冬至」でした。
冬至とは、ご存知のように、昼間(陽)の時間が最も短い日です。
換言すれば、夜(陰)の時間が最も長い日、つまり「陰の極み」です。
この日より一日ごとに日照時間が伸びていく――
つまりは、一日ごとに少しずつ陽気が増大していくことになります。
このことを「冬至より一陽起こる」と言っているのです。
では、そのせいで「ますます冷える」とはどういうことでしょうか。
「鍋やフライパンの油に引火したら、けっして水を掛けてはいけない」
みなさんも学校の防災訓練などでそう教わったことがあると思います。
なぜならば、熱した油に冷水を掛けると、
瞬間的に爆発を起こし、ひじょうに危険だからです。
このように、相反する性質の二物がぶつかり合ったとき、
エネルギーのより強いほうが一時的にその威力を増すことがあります。
熱した油100%だったところへ少量の水を注ぐことにより、
熱油90%に対して冷水10%へとバランスに変化が生じ、その結果、
熱い油の性質、そのエネルギーが、一時的・瞬間的に増大したのです。
夏場、夏至(=陽の極み)をひと月ほども過ぎてからの
小暑~大暑の頃が最も暑いというのも、この理によります。
同様に、冬至の時点で「陰の気」100%であったところが、
一日経つごとに「陽の気」が少しずつ増していき、
「相反する性質の二物」がぶつかり合うことになり、
結果、その時点でエネルギーの強い「陰の気」の性質、
つまりは寒冷という性質が一時的に増強するため、
小寒~大寒の頃が「ますます冷える」ことになるのです。
「陰きわまりて陽に転じ」た今頃の時期がじつは最も寒いのは、
こうした自然現象=自然の摂理に基づいているからなのであり、
鍼灸や漢方薬が体に優しく、難症にもしばしば著効を奏するのも、
東洋医学が自然の摂理に則ったものであるからにほかなりません。(了)
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