陽きわまりて陰を生ず(1) ~漢方医学と陰陽論~
カテゴリー:「陰陽五行」の話
きょう8月7日は「立秋」です。
今回はこの立秋に絡めて、東洋医学的な、
ちょっと奥深いお話をしてみたいと思います。
前回のブログでも触れたように、陰陽論では
「陰きわまって陽に転じ、陽きわまって陰を生ず」
という言葉で普遍的真理が言い表されます。
これを季節でたとえるならば、
「立秋という陽気(=暑さ)のピークの中には
すでに陰気(秋の徴候)がどこかに芽ばえ始めている」
ということになるでしょうか。
「普遍的」であるということは、
この地球上のどこにおいても、何に対してもあてはまるだけでなく、
宇宙というマクロな世界にも、
また、人体というミクロの世界にもあてはまる
絶対的な真理であるということです。
この「宇宙・地球上・人体」のことを
東洋医学・哲学では「天地人」といいます。
ですから、
「陰きわまって陽に転じ、陽きわまって陰を生ず」
というこの言葉は、
立春・立秋についてのみ言ったものではありません。
ただ単に、普遍の真理が「地球上の気象現象」にも
あてはまっているに過ぎないのです。
したがって、このことは立春・立秋以外にも――
ズバリ「人体」にも――あてはまることなのです。
たとえば、足首を捻挫したとしましょう。
すると、局所は赤く腫れあがり、熱を生じますね。
頸椎ヘルニアや肉離れのブログでも詳述したように、
受傷から数日が炎症のピークです。
暦にたとえるなら、この「炎症のピーク」がまさに立秋というわけです。
このとき、体の中ではいったい何が起こっているのでしょうか。
けがをしたところがプクーッと腫れあがるのはなぜなのでしょうか。
何のために体はそのような反応を示すのでしょうか――。
赤く腫れあがった皮膚の下に溜まっているのは、
「滲出液」という名の「水」です。
(※旧ブログ「頸椎ヘルニアになってしまいました(10)」参照)
炎症という「陽」に反応して、滲出液=水という「陰」が生じたわけです。
これこそが「陽きわまって陰を生ず」ということの、人体における真理です。
炎症という「陽」が燃え盛っているまさにその最中に、
体の内部では、滲出液=水という「陰」が産生され、
患部に流入し、冷やそう冷やそうというふうに働く――
東洋医学ではそのように解釈します。
現代医学からみて、その機序がいくら科学的でないと言っても、
滲出液(=水)が患部に流入することによって、
結果として炎症が鎮まることに変わりはありません。
(※【陽きわまりて陰を生ず(2)】へつづきます)
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