頸椎ヘルニアになってしまいました(17) ~鍼灸は魔法の杖じゃない~
カテゴリー:「病気とケガ」の話
(※【頸椎ヘルニアになってしまいました】の最終回です)
「鍼灸師の言うことはアナログだから――」
鍼灸師である私にとって、この言葉は愉快なものではありませんでしたが、
一方において、頷かざるを得なかったこともまた事実です。
たとえば、いちばんよく見かける「腰痛」を使った広告。
腰痛で悩まれている方はじつに大勢いらっしゃいますから、
「たった一度の施術で頑固な腰痛が治った!」
などという謳い文句には大きな訴求力があるわけです。
しかし一方で、ひとくちに腰痛と言っても、
筋肉や靱帯に由来するものから骨・関節に由来するもの、
内臓に由来するもの、脳・神経に由来するもの、
そして精神的なものまでをも含めると、
その原因・病態はじつにさまざまです。
それらを十把一絡げにして、
「たった一回で腰痛が治った!」
と宣伝するのは、フェアなやり方とは言えません。
もしそれが本当に治ったのであるならば、
どのような時期にあるどのような腰痛が、
どのような治療によってどこまで改善されたのか――
そこまで詳らかにする必要があると私は思っています。
鍼灸治療はけっして「魔法の杖」ではありません。
本当に、たった一度の施術で治ったのならば、
そのようなキャッチコピーを謳うのもよいでしょう。
しかし、そこだけを言いっ放しにしたまま何の註釈も付けないならば、
それを見た一般の患者さんは、
「自分の腰痛や五十肩も一回の施術でサクッと治るだろう」
と思ってしまうのも無理はありません。
――そうです。
「五十肩みたいなこないなもん、
鍼でチョチョッとつっ突いたら治るんと違うんか」
というあの患者さんの言葉は、私たち鍼灸師自らが
患者さんをして言わしめたセリフなのであり、
「自らの播いた種」にほかならなかったのです。
そう思い至ったとき、
鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師という
いわゆる「コ・メディカル」業界に
これまでいちばん欠けていたもの、それこそが
EBM(=科学的根拠に基づいた医療)という概念であり、
その実践であったことをあらためて思い知ったのでした。
「私たち国家資格を持つ医療従事者はEBMを実践しなければならない。
それのできる柔道整復師にならなければいけない」
養成学校時代の恩師である白石洋介先生(麹町白石接骨院院長、医学博士)が、
私たちに徹底的に植え付けてくださった教えです。
当院は接骨院ではありませんが、
この白石先生の教えを受け継いだ鍼灸マッサージ院です。
くるみ治療院は、これまでも、そしてこれからも
EBMを実践する治療院でありつづけます。(了)
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