頸椎ヘルニアになってしまいました(14) ~正しい認識と誤った希望~
カテゴリー:「病気とケガ」の話
(※【頸椎ヘルニアになってしまいました(13)】のつづきです)
今回が本当のVol.12からのつづきになります。(^■^;)
これまで長きにわたってページを割いて、
炎症というものの何たるかをお話ししてきたのも、
ひとえに患者のみなさんに人体の科学的事実を知っていただき、
病気やけがの治療に対して正しい認識を持っていただくと同時に、
誤った希望を抱かれることの無いようにしていただきたいがためです。
「正しい認識」とは何か――。
それは「治るのには相応の時期がある」ということです。
炎症についての正しい認識を持つことで、
病気やけがの際の急性期の処置や過ごしかたを知っていただき、
症状の悪化を防ぐとができます。
「誤った希望」とは何か――。
「治る時期が来ていないのに治ることを期待する」ことです。
治る時期ではないときに、どんな治療をどれだけしてみたところで
けっして治るものではないのです。
それどころか、炎症の強い時期にあれこれ物理的刺激を与えれば、
文字どおり、かえって「火に油を注ぐ」ことにもなりかねません。
少なくとも、そうしたものは科学的な治療とは言えません。
こうした「誤った希望」の一例として挙げたのが、
「五十肩みたいなこないなもん、
鍼でチョチョッとつっ突いたら治るんと違うんか」
という、ある患者さんの言葉でした。
誤解の無いよう申し上げておきますが、
べつにこの患者さんを非難しているのではありません。
かぜを引いて微熱があるから熱冷ましでも飲んでおくかとか、
ぎっくり腰をやってしまい、あわてて
病院(治療院)まで這うようにして行ったとか――。
五十肩や発熱、ぎっくり腰に限らず、私たちは大同小異、
こうした考え・行動をしてはいないでしょうか。
あるいはまた、
「整形外科はシップを出すだけで何もしてくれない」と言って
指圧や鍼治療を受けに行き、1~2回施術を受けてみて、
「受けたときは良かったが、またすぐ元に戻ってしまう」と言って、
治療院・施術所を転々と渡り歩くというようなことをしていないでしょうか。
治療とは、治る時期ではないときにあれこれ手を出すことではありません。
「絶対安静」という言い古された言葉がありますが、
あれにはちゃんとした科学的根拠があってのこと。
「安静」とは、けっして何もしない、何もできないことではありません。
まだ治る時期ではないときの最善の治療法――それが安静療法なのです。
治る時期に入ってきているか否かを見きわめ、まだのものは
一日も早くその時期に移行するよう、勇気をもって患者に安静を守らせ、
治る時期に入っているものは、
一日も早く治癒に向かうよう適切な療法・処置を施していく――
それこそが科学的エビデンスに立脚した医療(EBM)と言えます。
(※【頸椎ヘルニアになってしまいました(15)】へつづきます)
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