(※【水滞証と腎(5)】のつづきです)
①「変形性膝関節症」による膝関節痛(10年以上前から)
② あさ起床時の肩と腰の痛み(2-3年前から)
③ あさ起床時から右手がじゃんけんの「グー」の形に
固まったまま、痛くて開くことができない
――さて、以上が初診時のCさんの主訴でした。
このうち、どれがいちばん深刻で、急を要する症状かといえば、
それは間違いなく、①膝関節痛です。
なぜならば、日常生活において立ったり座ったり、歩いたりという
動作を伴わないものはほとんど無いと言っても過言ではないこと、
そしてまた、Cさんの場合それ以上に、
わざわざ他府県から電車に乗って、さらに駅から10分弱の道のりを
膝が痛いにもかかわらず歩いて来てくださる――。
そのことを思うと、その日の治療を終えて、
また同じ道のりをお帰りいただくときに、
膝の痛みが何ら変わっていないなどということは
あってはならないことだと思ったからです。
複数の主訴がある場合、そのすべてを改善させることができれば
もちろん申し分ないわけですが、
現実には、そううまくばかりいくとは限りません。
とくに、長い年月をかけて進行・慢性化した症状ほど、
そう容易に改善できるものではないのです。
ともかく、
「最低でも、膝関節痛を改善させてお帰りいただく」
ということを自らに課し、治療の処方を考えました。
また、一方で忘れてはならない大事なことは、
上記のCさんの主訴すべてが水滞証による症状だということです。
①膝の痛みは膝関節に水が溜まった(=強い炎症がある)結果であり、
また、②③とも「あさ起床時」に最も症状が強いという事実こそが、
夜間安静時に、そこに水が溜まってしまったことを物語っています。
あさ起きたときには、関節やその周辺組織(滑液包や腱鞘など)が
「水溜まり」の中にジャブジャブに浸かっている状態です。
だから、肩が凝り、腰は重だるく、
指の曲げ伸ばしがスムーズにいかないのです。
まさに「水滞」と言われるゆえんです。
だとすれば、その水滞が改善されれば、
これらの症状もまた改善されるはずです。
では、この水滞はどこからやってきたものかといえば、
その総元締めは「腎」です。
とくにCさんの場合、生来の体質的なものに加え、加齢に伴う
「腎」の機能不全が惹き起こしているとみて間違いありません。
ということは「腎」の機能回復なしには
水滞証の改善もまた無いというわけです。
そこで、
1.とにかく膝の痛みをすこしでも緩和すること
2.「腎」の機能回復を治療の主眼に置くこと
――この二つを柱に据えて経絡・経穴を選定し、
指圧や3D刺激療法も併用した処方で治療を開始しました。
(※【水滞証と腎(7)】へつづきます)
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