(※【腎の生理(2)】のつづきです)
折にふれ、私はこのブログの中で、
「治療家は、はりきゅうや整体でどんな病でも簡単に
治ってしまうような調子のいいことばかり言うな!」
「患者のみなさんは、そのような調子いいことだらけのホームページや、
無責任な広告・チラシの甘言を鵜呑みにしてはいけない!」
――そう訴えてきました。
こんなことを続けていたら、患者さんが救われないばかりか、
治療家自らが自分の首を絞めることになるだけで、
誰ひとり、何ひとつ得するものはありません。
これから以下に記す症例は、
重度の水滞証と推定される、当院の患者さんの実際の臨床例です。
水滞証と「腎」との関連をお話しする上で
きわめて興味深い症例ですので、ここにご紹介させていただきます。
当たり前のことですが、観察された事実はそのまま事実として記載し、
いっさいの粉飾・脚色は加えていないことを予めお断りしておきます。
60代の女性、Cさん。
身長156cm、体重65kg(※初診時の自己申告)。
昨年(平成27年)より継続的に診させていただいている患者さんです。
もともとこの方のお嬢さんが当院の患者さんで、
そのお嬢さんの勧めで当院を受診されました。
Cさんの初診時の主訴は、以下のようでした。
①「変形性膝関節症」による膝関節痛(10年以上前から)
② あさ起床時の肩と腰の痛み(2-3年前から)
③ あさ起床時から右手がじゃんけんの「グー」の形に
固まったまま、痛くて開くことができない
いずれも長い年月の間に慢性的な経過をたどった、
加齢に伴う典型的な慢性疾患です。
一般的には、けっして少ないとは言えない主訴の数ですが、
ご高齢の方の場合、3つや4つの主訴は珍しいことではありません。
しかし、Cさんの場合、さまざまな理由から、
この後、主訴の数がどんどん増えていくことになります。
さて、施術を始める前に肝腎なことは、言うまでもなく問診です。
現代医学と違い、CTやMRIを始めとする
科学的精密検査に頼ることのできない東洋医学では、
「自覚症状の聞き取り」がきわめて重要・不可欠な情報となります。
望診(=視診)・切診(=触診)と併せてこの問診をおこなうことで、
患者さんの「証」(=病態や体質)を明らかにしていくのです。
原則論から言えば、証が決まれば処方(=治療法)も自動的に決まります。
このことを「診断即治療」といい、漢方医学の特色の一つとなっています。
次回は、その問診の話から続きを書きたいと思います。
(※【痰湿証と腎(1)】へつづきます)
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