(※【鍼灸で血圧降下剤が不要になった例(3)】のつづきです)
しかし、血圧が上がるのも
ヒトの生理現象の一つです。
毛細血管の破綻が進行すると、
末端の細胞組織にまで血液が
十分行き渡らなくなるため、
放っておくと、組織壊死や
梗塞を招く恐れがあります。
それが心臓で起これば
心筋梗塞、脳で起これば
脳梗塞というわけです。
そのような非常事態を回避
するため、体は一所懸命に
血を循(めぐ)らそうとして
血圧を上げるのです。
体にとって必要だから、
体が血圧を上げる――
それが私たちの体に備わった
生理的メカニズムなのです。
しかし、高血圧の持続は心臓に
負担をかけるばかりでなく、
脳卒中などのリスクも高めます。
だから、薬の助けを借りて
血圧を安定させることには
それなりの意義があります。
問題は、降圧剤の長期服用
によって、手足のむくみや
首・肩・背中の凝り、頭痛、
めまいなど、明らかな副作用と
思われる症状が現れることです。
これらの症状は、漢方に言う
「水滞証」と呼ばれるもので、
血液やリンパの循環が滞り、
組織の末端まで新鮮な血液が
行き渡らなくなった状態です。
降圧剤による不自然な血圧降下
が招いた症状であるといえます。
Fさんもまた、持病のCKDに
対する処方として、医師から
降圧剤を処方されていました。
透析患者であるFさんには
排尿がありませんから、
摂取した水分は血中や
細胞組織内に溜まっていきます。
それによって起こる高血圧を
改善するのが処方の目的です。
しかし、長年にわたる降圧剤の
服用が、さまざまな体の不調を
Fさんにもたらしてきたのです。
それが、継続して鍼灸治療を
受けているうちに、降圧剤を
必要としないレベルにまで
血圧が下がり、医師から処方
されることもなくなりました。
降圧剤を服用しなくなって
ずいぶん長いこと経ちますが、
血圧はずっと安定しています。
もちろん、腎不全そのものが
鍼灸治療によって改善した
ということではありません。
けれども、高かった血圧が
改善し、安定していることは
まぎれもない事実なのです。
これは想像ですが、
継続的な鍼灸治療により
毛細血管の破綻が止まり、
逆に毛細血管が再生して
きているのではないか――
つまり、鍼灸治療によって
血瘀が改善したのではないか
ということが考えられます。
しかるべき検査をおこなった
わけではありませんから、
もちろん断言はできませんが、
治癒や改善の見込めない
透析患者さんにおいて、
実際に降圧剤が不要に
なった事実を考えると、
その可能性はきわめて大きいと
言えるのではないでしょうか。
いずれにせよ、これにより
Fさんを悩ませてきた主訴も
漸次改善されたことは
言うまでもありません。(了)
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