肝の生理(3) ~血液のラジエーター~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
(※【肝の生理(2)】のつづきです)
五蔵のうち、これまで【腎の生理】【脾の生理】をみてきました。
今回は「肝」の生理作用についてお話しすることにします。
大事なことは、くれぐれも
解剖学的臓器としての肝臓のことを言っているのではない
ということを「肝(きも)」に銘じておいてください。
① 肝は、疏泄(そせつ)をつかさどる
② 肝は、蔵血(ぞうけつ)をつかさどる
③ 肝は、筋・目・爪をつかさどる
④ 肝は、怒りの感情をつかさどる
⑤ 肝は、風(ふう)を悪(にく)む
「①疏泄をつかさどる」から説明していきましょう。
「疏」は「分岐した水路に水が澱(よど)みなく流れる」様子。
「泄」は「溜まった水が捌(は)ける、漏れ出す」ことを言います。
「肝」には、このような基本的生理作用があるということです。
体内を流れ、また溜まることもある水とは「気・血・水」のこと。
その気・血・水を潤滑に循らせているのが「肝」というわけです。
中でもとくに「病は気から」始まりますから、
健康でいるためには「気」がつねに澱みなく
体内を循(めぐ)っていなければなりません。
前回のブログに書いたように、さまざまなストレスや風邪によって
「肝」の疏泄機能が阻害されると、まず気の流れが澱み、
中医学に言う「肝気鬱滞(かんきうったい)」の証を呈します。
全身の気の流れが滞る「気滞(きたい)」と呼ばれる病態です。
つぎに「②蔵血をつかさどる」ですが、文字どおり
血を貯蔵しておく作用が「肝」にはあるということです。
陽の時間帯である昼間には「心」「肺」が血を体じゅうに循らせ、
陰の時間帯である夜間には、血は「肝」に収まり、養われます。
夜、眠っているときの顔色が白いのは、血が「肝」に収められ、
陽の部位である体表や頭部の血流量が減少するためです。
血液は昼間、体じゅうを絶え間なく循っています。
動いているものはすべてみな熱を生じます。
だから、熱(=陽)が大きくなりすぎぬよう
定期的に冷ましてやる必要があります。
このことを「陰を養う」といいます。
血は、夜間「肝」に貯蔵されることで、その陰が養われます。
「肝」はまさに「血液のラジエーター(冷却装置)」なのです。
夜更かしや睡眠不足などでこの「蔵血」が十分でなくなると、
血が冷やされずに熱を持つため、ますます不眠傾向となり、
始終体がけだるく微熱っぽい、火照ったような感じになります。
ちょうど徹夜でマージャンしたときの、あんな感じです。
えっ、わからないって?(^▼^;)
このように見てくると「肝」は、
気や血の働きにきわめて重要な関与をしていることがわかります。
「きわめて重要である」ことを「肝腎」と言うゆえんです。
(※【肝の生理(4)】へつづきます)
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