肝の生理(2) ~風邪とストレス~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
(※【肝の生理(1)】のつづきです)
さまざまな物理的・化学的・生物的・精神的原因刺激――
つまり、寒冷や騒音、肉体の酷使、薬品や食品添加物、
ウイルスや細菌、カビ、花粉、炎症、
恐れ、不安、焦り、緊張、悲しみ、怒り、絶望などの感情や、
パワハラ、セクハラ、いじめといったさまざまなストレス
――が、さまざまな病気の原因となりうるということを
前回のブログでお話ししました。
(※これらは厳密には「ストレッサー」といいますが、
社会通念に照らして、以下「ストレス」と表記します)
ここからは誤解や反論を承知で書きますが、
私は、上記のようなさまざまなストレスの総合・総称こそが
東洋医学に言う「風邪(ふうじゃ)」なのではないかと考えています。
「風邪」と書いて「かぜ」とも読むことから、
風邪とは「かぜ症候群を引き起こす感染症(の病原体)」
を指すものであると考えがちです。
しかし、そのような捉え方は「生物的ストレス」という
風邪が本来持っている意味の、ほんの一片にすぎません。
たとえば「脳卒中」という病気があります。
いわゆる脳出血や脳梗塞のことです。
これらは動脈硬化症というものが基盤にあり、
高血圧が引鉄(ひきがね)となって発症します。
顔を真っ赤にして怒っている登場人物の、頭の血管が「ブチッ!」
――というふうに、マンガなどではよく描かれますよね。
東洋医学では、この病を「中風(ちゅうふう)」と呼んでいます。
「風邪に中(あた)る」という意味です。
日本でも、ひと昔ふた昔前まで普通にそう呼んでいました。
このことから、血管破綻の原因である高血圧(=物理的ストレス)や、
その高血圧の原因となりうる怒りなどの感情(=精神的ストレス)が、
包括的に「風邪」という概念で捉えられていたことがわかります。
「風」とは、動き回るもの、変化の象徴である――
と、ブログ【「春分」2017 】の中で書きました。
自分を取り巻く環境の変化はストレスを生みますし、
自身の体に起こった変化はそれ自体がストレスです。
すなわち、風邪とはストレスにほかならないのです。
東洋医学では、人体にも自然の摂理が存在すると考えます。
自然界に四季があるように、体の中にも四季が存在します。
春は「風邪=ストレス」の季節であり、
その春に配当される蔵府が「肝」です。
かように「肝」とストレスとは切っても切れない関係にあります。
先ほど例に挙げた中風(=脳卒中)のケースでも、
実際の臨床では「肝」のツボを用いて治療する――
つまり「肝」の生理機能の改善を図る治療が不可欠です。
では「肝」の生理機能とは何か――。
前置きが長くなりましたが、
次回からはそれをみていくことにしましょう。
(※【肝の生理(3)】へつづきます)
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