肝の生理(5) ~「未病を治す」ということ~
カテゴリー:「五蔵六府」の話
(※【肝の生理(4)】のつづきです)
「④肝は怒りの感情をつかさどる」
――これは、大きな恐れや驚きが「腎」を傷(やぶ)り、
思い詰めすぎることが「脾」を損なうのと同様に、
過度の怒りもまた「肝」の機能を失調させるに足る
要因の一つになりうるということ。
このことは【肝の生理(2)】の中で、
脳卒中=中風を例に挙げてご説明したとおりです。
生体にとって怒りの感情というのは、
ひじょうに大きなストレスとなって
生理機能の失調を招く大きな要因の一つなのです。
だからなのか、水墨画や陶磁器などに描かれた
桃源郷の住人である古代中国の「仙人」たちは、
みな一様に「ほほ笑み」を絶やしません。
しかし悲しいかな、現代社会に生きる私たちは
「怒り」を感じずに暮らすことなど、とてもできません。
一人ひとりがその人なりの、怒りの収め方、
ないしは発散のしかたを工夫して、
ストレスを最小限に止める生活を
送っていくよりほか無いのかもしれません。
それでもストレス過多に陥ったときには、
はり・きゅう、指圧、マッサージでリフレッシュして、
病に至らざる段階でその芽を摘んでおくのが得策です。
このことを古来より「未病を治す(みびょうをちす)」と言い、
現代西洋医学の考え方には無い、
漢方医学の最大の特色となっています。
おしまいは「⑤ 肝は風(ふう)を悪(にく)む」ですが、
これについては【肝の生理(1)】【肝の生理(2)】で
詳しくお話ししてきましたので、そちらをご覧ください。
古来より「風邪(かぜ)は万病のもと」であると言われてきました。
一方で、現代医学もまた「ストレスは万病のもと」と警鐘を鳴らします。
一見、何の関連も無いかのごとく思えるこれらの言葉も
「風邪=ストレス」というカギを用いて読み解けば、両者は同じ事柄
――同じ真実を言い表しているのだということがわかります。
東洋医学も西洋医学も、登る道は違えど登るべき山は同じなのであり、
また、そうでなければならないのです。(了)
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